古事記スクール

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【新古事記001】リスタート

「おはようございます」


午後10:45。時間に関係なく「おはようございます」の挨拶からこの仕事はスタートする。


僕の名前は浅間陽。


大学3年の時にホテルのフロントのアルバイトをはじめた。卒業後、別の会社に就職したもののわずか半年で退社。その時に「戻ってくれば」と声をかけられ、正社員として採用してもらった。以来10年間、ここでお世話になっている。


ホテルのフロントは当然ながら24時間365日稼働している。それを20人ほどの人員でやりくりしている。アルバイトの学生もいれば、夜勤専属のおじさんもいる。正社員の割合は半分くらいだ。


僕は不規則な勤務体系ではあるけれど、人間関係の良いこの職場を居心地良く感じていた。


今日は23時からの夜勤だ。ホテルのフロントバックには見たことのない一人の男性かいた。


「はじめまして氷川航と申します。よろしくお願いします」


40歳くらいいだろうか?真面目そうな男性が頭を下げてきた。僕はすぐにピンときた。


「ああ、氷川さんですね。話は聞いていますよ。夜勤専属なんですよね?僕は浅間陽と言います。よろしくお願いします。」


僕より10歳近く年上で夜勤のアルバイト…。昼間は別の仕事を掛け持ちしているんだろうか?申し訳なく思いつつ「負け組」というワードが自然と頭に浮かぶ。


僕は氷川さんに言った


「初日ですから気楽にやってください。とりあえず今日は僕のやることを見ていてくれれば大丈夫です」


僕はタッタっとキーボードを打ち、残りのチェックインの件数を確認した。氷川さんは不思議そうに僕の作業を見つめていた。


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深夜1時過ぎ…


業務が落ち着くと僕は氷川さんに話しかけた。


氷川さんは45歳。僕とはちょうど一回り離れていた。奥さんと小学生になったばかりの娘さんがいるそうだ。奥さんはフルタイムで働いているらしい。今や男一人の稼ぎで何とかなる時代ではないのかもしれない。


氷川さんの自己紹介を聞きながら、12年後の自分はどうなるんだろう?と何とも言えない不安に襲われる。


仮眠を挟み、朝が来る。


朝食の案内やチェックアウトの作業をしながら、ゆったりと時間が過ぎていく。


午前7:45


今日もあと少しでいつもと同じように1日が終わる。勤務を引き継ぐ職員が出勤してきた。その中に聖の姿があった。


僕は少し気まずそうに

「おはようございます」

と挨拶した。


実は僕と聖は同棲している。社内恋愛というやつで、もう付き合って3年になる。お互い結婚を意識しているものの具体的なことは何も決まっていなかった。


出勤者に引き継ぎを終えると僕は氷川さんに声をかけた。


「初日、どうでしたか?疲れたでしょう?今日はゆっくり休んでください。お疲れ様でした」