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【新古事記006】寄り道②

陽が自転車を止めたのは、大手の中古本販売店の前だった。陽はコミックコーナーに足を運び、あるサッカー漫画の第7巻を手に取った。そして立ち読みを始めた。


こうしてダラダラと過ごすのが何とも楽しい。人生の無駄遣いだとわかってはいたが、陽は時々仕事の帰りに寄り道し、こうして立ち読みして時間を潰した。


あっという間に2冊を読み終え、陽はうーんと身体を伸ばした。


午前11:45


「そろそろ帰るか…」


店内に人の姿はほとんどなかった。店員も暇そうにしている。


今やインターネットで中古本を安く便利に買うことが出来るし、陽のように立ち読み目的で訪れる客もいるだろう。


「この会社に未来はあるのかな?」


陽はそんな余計なことを考えた。


そういえば15年くらい前、この店舗がオープンする際に店長を務めたのは大学生だったと聞いたことがある。インターンシップで半年ほど修行を積み、見事店長を任せられた、というような話だった。


「世の中にはすごい奴がいるな…」


きっと彼はこの会社で着実に出世しているだろう。もしかしたらヘッドハンティングされ、有名な大手企業に勤めているかもしれない。いずれにせよ、自分のようなくだらない毎日は送っていないだろう。


陽は自分の大学生活を思い出していた。ダラダラと時間を消費するだけの毎日。今思えば、大きく人生を分けた時期だったのかもしれない。


「さ、帰ろ帰ろ」


すっかり気持ちが沈んでしまった陽は、店舗の出口に向かった。ふと自動ドアの横に置かれた求人情報が掲載されたフリーペーパーが目につく。陽はそれをサッと手に取ると素早くカバンにしまった。そして家に向かって自転車を漕ぎ始めた。


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陽は帰宅すると電気ケトルでお湯を沸かした。聖の作って置いてくれたおむすびとカップラーメンでお昼を済ます。


その後、シャワーを浴びソファーに横になった。リモコンを使い、テレビのスイッチをオンにする。ワイドショーでは芸能人の不倫の話と政治家の問題発言をコメンテーターが糾弾していた。


やがて睡魔が襲ってくる…と思ったが、今日は不思議と眠れる気がしなかった。陽はテレビを切ると諦めてソファーから起き上がり、掃除機をかけ始めた。