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【新古事記014】ビートルズ

午後11:00


航は石松さんとフロントに立っていた


ビートルズ好きの69歳。見た目によらず英語堪能、ダブルワークの石松さんである。


この時間、パラパラとだがチェックインの客がフロントを訪れていた。

 

今夜の体制は、陽と石松さん、そして研修生の航である。


航がここで仕事を始め、すでに10日が過ぎていたが、2人と勤務するのはいずれも2度目だった。


客足が途絶えた。ほぼ予定のチェックイン作業を終え、静かになったロビーにはインストゥルメンタルの曲が流れていた。


航は石松さんに話しかけた。


「僕、石松さんにCDを持ってきたんですよ」


石松さんに断りを入れ、一度フロントバックに下がると、航は今朝バッグに入れたCDを取り出しフロントに戻った。


「石松さん、これです」


「なんです、これは?」


航は説明を始めた


「これ、映画のサウンドトラックなんです。もう15年くらい前のものだと思います」


航は続けた


「色々なアーティストがビートルズの曲をカバーしてるんですよ」


石松さんの目の色が変わった


「へー!!早速聴きましょう!!」


石松さんはCDを持ってフロントバックに行くと、小さなCDプレイヤーを操作しCDを交換した。


ロビーには「Two of us」という曲のイントロが流れ始めた。航にはホテルの格式が少しだけ上がったように感じられた。


石松さんはすぐフロントに戻ると耳を澄ませ


「ちょっと小さいですね」


と言い、フロントバックに戻り音量を上げた。


誰もいないホテルのロビーにはかなり大きめな音で「Black bird」が流れていた。


「ああ、いいですね!」


石松さんな曲に合わせて鼻歌を歌い始めた。


航は苦笑いしつつも、そんな石松さんの姿を見て嬉しくなった。