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【新古事記099】天真

「浅間さん、まだお時間大丈夫ですか?」


航は陽に確認した。


「は、はい。僕は大丈夫です」


航はうなづくと空中さんに質問した。


「空中さん、ワカン・タンカ村というのはなんですか?」


空中さんが口を開いた。


「簡単に説明すると…


僕のアニマルメディスンがバッファローでして…」


「ア、アニマルメディスン?」


陽は思わず大きな声を出していた。


「うーん…自分を守護してくれる動物のスピリットのことで、ネイティブアメリカンの思想です。で、僕を守護してくれているのが、バッファローのスピリットなんです」


「は、はぁ…」


陽は気の抜けた返事をした。空中さんは続けた。


「スー族の言い伝えでは、バッファローの国からやってきた少女が、ワカン・タンカの教えを村に伝えるんです。


ワカン・タンカとは「大いなる神秘」というような意味です。スー族ではこのワカン・タンカがすべての創造主である、という考え方があるのです」


航は空中さんのイメージとバッファローがぴったりだと思った。


空中さんは続けた。


「僕の名前の漢字『天真(てんしん)』には、「人が天から授かったものを活かす」という意味があるんです。


そんな場を作りたい、という思いで『ワカン・タンカ村』の構想にいたりました。


架空の村ですが、村人は300人くらいいますよ。


今はこのカフェを、色々な人の表現の場として使ってもらっていますが…でもいつか、本当の村を作りたいですね」


それを聞いた陽は暗い顔になった。


「天から授かったもの…僕にはそんなものありそうにないです」


空中さんはすぐに言った。


「そんなことないですよ。天から授かったというとすごい能力をイメージするかもしれませんが…


僕の場合、若い頃から『声がいい』とよく言われていた。でも「それが何か?」という感じで受け入れてきませんでした。


でも50歳を迎えたタイミングで、こじんまりと朗読会を始めたんです。このカフェで毎月一回、もう5年になります」


航は言った。


「5年も続けられているんですか?


すごいですね、続けるって難しいですから。


それが古事記の朗読会につながるわけですね」


空中さんは笑顔で言った。


「そういうことです」