21時35分
ブルルブルル
枕元に置いたスマホが震えた。浅い眠りに入りかけていた陽は一瞬で覚醒し、すぐスマホを手に取った。
メッセージの差出人は航だった。
「おい、聖…」
そう言いかけて陽は慌てて口を閉じた。聖は隣で静かな寝息を立てていた。
陽は聖を起こさないよう静かに寝室を出て、リビングへ移動した。照明を点け、冷蔵庫から発泡酒を一本取り出し、ソファに腰掛けた。
プシュ
「浅間さん
メッセージありがとうございます。
古事記の冒頭部分はつまずく人がとても多いと思います。最初にぶつかる古事記の壁ですね。
神様の名前は覚えなくて大丈夫です。とりあえず、『だんだんと世の中の成り立ちが出来ていったんだなー』くらいの認識で良いと思います。そのまま読み進めてください。
今度、機会があれば解説しますね。これから夜勤です。
おやすみさない。
氷川」
陽はすぐに返信した。
「ありがとうございます。
お仕事がんばってください」
陽はソファに置いてあった「古事記まんが」を手に取るとページを開いた。そして自分なりに整理してみた。
「つまり…たくさんの神様が生まれ世の中の成り立ちが整い、最後にイザナギとイザナミが生まれた。
こういう解釈で良いってことかな?」
そして、発泡酒を一口飲んだ。
どこかで聞いたことのある名前ではあるな…
」
陽の眠気は完全に吹っ飛んでいた。陽は続きを読み進めることにした。