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【新古事記141】求人募集

航は西口さんが何気なく言った言葉を今でもよく覚えている。


「40歳を過ぎたあたりから人生が崩れるんだよ」


当時は自分にはなんの関係もない言葉のように思えたが、今の自分はどうだろうか?


社会からドロップアウトした自分。当時、こんな人生を予想していただろうか?


いや、予想も何も自分が45歳になるなんて想像もしていなかったかもしれない。


当時の西口さんと同年代になり、結婚し娘を授かり…航は今になって彼の寂しさがわかるような気がした。


(西口さんにもっと優しくしておけば良かったかな。


掛川さんも将来、こんな風に思うんだろうかか?)


米澤さんの酒癖を批判する掛川さんを見て、航はそんな風に思った。


「氷川さん、知ってますか?」


掛川さんのその一言で航は現実に戻った。


「え?何をですか?」


「今、五十嵐さんは宿泊課の実質の責任者なわけですけど…」


「まぁそうでしょうね」


「宿泊課の責任者…チーフマネージャーって言うんですけどね。


そのポストを募集してるのを求人サイトで見ちゃったんです」


「えっ?」


航は思わず声を出した。


「つまり、五十嵐さんはどんだけ頑張っても、会社は上に上げる気はないってことですよね。


ひどいですよ、手当もつけずに仕事だけどんどん押し付けて…


五十嵐さん、20年以上前に入社してるし、米澤さんほどではないにしても給料高い方だから…


会社としてはいずれ辞めさせようって考えかもしれませんね。


そんなことも含めて、僕も真剣に将来のことを考えるようになりました」


それを聞いた航は言った。


掛川さん、かなり考え方が変わってきたみたいですね」


掛川さんは嬉しそうに答えた。


「はい。


もっとこう…


自分の可能性を信じてみたくなりました」