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【新古事記148】陽の焦り

陽は前回の満員電車を覚悟していたが、車内は予想外に空いていた。


「あ、今日、日曜か」


陽は呟いた。シフト制の仕事をしていると曜日の感覚がなくなってくる。


電車は大きな川を越え都内に入った。その次の駅で目の前の席が空いたため、陽と聖は並んで座った。


陽は聖の横顔を見た。聖はニヤケていた。


「聖、何ニヤケてんの?」


「あれ?顔に出てた?


わたし…


あの兄妹に会うの、楽しみなのよね。


特にかなぶん」


「ふーん。


あ、そういえばさ…」


陽はそう言うとバッグから「古事記まんが」を取り出した。


「聖、どこまで読んだ?」


陽が聞くと聖はしたり顔で言った。


「ふふふふ。


ヨウくん、驚いてはいけませんよ。


ひーちゃんは…


もう2周目に入りました!!」


陽は驚いた。


「え?いつのまに???」


「読み始めたら夢中になっちゃって。


古事記さ、神様の名前はどうせ一回じゃ覚えられないじゃない?


だから、わたしはとりあえず読み終えてみたの。んで、今2周目」


「う…


まさに氷川さんがそう言う読み方を勧めてたよ」


「え?そうなの?


さすがひーちゃん!!」


聖は人差し指で鼻の下をこすって得意げな顔をした。そして続けた。


「わたし、思うんだよね。


未知の世界に触れた時は「初心者の心構え」が大切なんじゃないかと」


「初心者の心構え?」


「仕事だって最初から出来るわけじゃないでしょ?


わからないとこもわかってないんだから。


まぁそのうちわかるだろ〜くらいの気持ちでいいんじゃないかと」


「なるほどなー」


陽は感心して言った。すると聖は続けた。


「それに「古事記まんが」は読みやすいしね。


あ、ヨウ、安心して。


陽が読み終わるまで内容をバラしたりしないし、私の意見を言ったりしないから。


私、陽と古事記談義をするの、すごく楽しみにしてるんだ。


だから、今日かなぶんに会うのもすごく楽しみ。かなぶんも古事記に詳しそうだったし」


それを聞いた陽は少し焦って言った。


「聖、オレ、今から読書していい?


オレも天孫降臨まできてるからさ」


聖は3回頷いて言った。


「もちろんもちろん。邪魔しないから読書して」


陽は「古事記まんが」を開き、続きを読み始めた。